現在、立ち技格闘技界でトップに君臨する団体グローリーが、今年の12月に東京で16人トーナメントを行うそうだ。
出場選手は、セーム・シュルト、レミー・ボンヤスキー、ピーター・アーツ、ジェロム・レ・バンナ、エロール・ジマーマン、グーカン・サキ・・・。K-1とどう違うんだ?って感じだなぁ。K-1ファンとしては、グローリーの大会に出ていようと各選手をまだまだK-1ファイターとして見る感じはあるかもしれないけど、大会自体どんな感じになるのかな。
16名でワンナイトトーナメントというのはK-1の大会ではなかった。K-1では16名のトーナメントは秋に行って、12月に8名決勝トーナメント、決勝に進んでも1日3試合だった。今回のグローリー16名ワンナイトトーナメントでは、決勝まで進むと1日4試合になる。それは無理があるので、最初の3試合は2分2Rになるらしい。うーん、こんな大慌てなトーナメントで果たしてうまくいくのだろうか。しかも今大会には加えてMMAの試合も組まれるとのことだ。
全盛期を過ぎた元K-1ファイター
こんな言い方はしたくないけど、シュルト、ボンヤスキー、アーツ、レバンナ、実際みんなもう過去の人になってしまっている。シュルト38歳、ボンヤスキー36歳、アーツ41歳、バンナ39歳。シュルトは年齢は高くなっているものの現役バリバリでやっているが、アーツやバンナはもうプロレスの方に行ってしまっていてリアルファイトの方は完全じゃない。ボンヤスキーに至っては一度は引退してここ数年試合から遠ざかっている。元K-1ファイターとして脂が乗っているのはグーカン・サキくらいか。
今大会の地上波テレビ中継はないだろうね。新生K-1の運営が落ち着いてくればフジテレビのワールドGPなんかはまたあるのかもしれないけど。今回のグローリーの大会には日本人選手も出るとのことだ。でもヘビー級の日本人選手でメジャーな人って今いないよね。ボクシングやってる京太郎が出ることはないだろうし。
やっぱり面白いのは空手
先日、UFCで空手をベースとする格闘家リョートがライアン・ベイダーを一撃KOしたけど、やっぱり面白いのは空手なんだよね。K-1が面白かったのも、母体が空手をベースとしたものだったからなんだと思うんだ。K-1って見た目はキックボクシングだけど、キックボクシングの大会になっちゃったら面白くないと言ったら語弊があるけど、普通になっちゃうんだよね。
K-1=アンディ・フグだったんだよ。アンディ・フグ、フランシスコ・フィリォなどの空手家が、キックボクサーが多数をしめるリングで危うくも戦う姿にみんなスリルを感じたんだ。K-1のリングには、空手イズムというか、アマチュアイズムみたいなものがあって、格闘家魂、武士道、そういった土台があった。だから、例えキックボクサー同士の試合でもキックボクシングに終わらない何か魅力的な要素があったと思うんだよね。K-1の代名詞となった「リベンジマッチ」がそれにあたるかな。そのあたりは、やっぱり石井和義館長しか成しえなかったことなんだと思う。
石井館長が離れて、谷川Pになってからエンターテインメント格闘技になってしまった。格闘技がお茶の間化されてしまった。これはK-1ファン、格闘技ファンにとって非常に残念なことだった。それじゃダメなんだよね。いくら名のある格闘家が集結しても、そこには空手をベースとするK-1イズムはなかったんだ。ライブハウスから出発したバンドが、人気が出てドームでコンサートをやるほどの集客力をつけても、流行目当てに集まるファンが多くなってしまうのと同じだ。大規模になればなるほど、やる方も観る方も、どうしても面白くなくなっちゃうんだよね。
新しいK-1イズムが必要
今、K-1が新しく始動しているけど、ただのキックボクシングイベントにしてしまったら生まれ変われない。石井館長の真似をしてもダメだけど、空手をベースとした武士道精神や、最も強い者を選ぶんだという格闘技が持つ本来の理念のようなものが、イベントの根底になければいけないと思う。その新しいスタイルを新生K-1が生み出せるかどうかがポイントだ。世界中のK-1ファン、格闘技ファンがそれを待っていると思う。年内の新生K-1の動きに注目したい。
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