いやあ、すごく面白かったですねえ、K-1WGP2009ファイナル!
注目はバダ・ハリ、そしてアリスターだったのですが、シュルトが大復活でしたね。
しかし、シュルトに関しては『ニューシュルト』を見た気がします。
すでに3回王者になっているのにまだ進化するとは、やはりシュルトはすごい。
■バダ・ハリ若さが出た
アリスター戦は最高でしたね!こんなに盛り上がった試合は過去にないくらいだと思います。ピーター・アーツvsマイク・ベルナルド、アーネスト・ホーストvsボブ・サップに並ぶヒートアップした内容だったと思います。
2008年Dynamite!!でバダ・ハリはアリスターにKOされてしまいましたが、あれは本当に驚きで、僕はアリスターがバダ・ハリのスピードについていけないだろうと思っていたのです。それが、バダ・ハリに本来のキレがまったく見られずああいった形になってしまった。やはり、WGP直後でコンディション不足としか思いようがなかったですね。今回の2度目の対戦はバダ・ハリのKO勝利となりましたが、これが本来の結果でしょう。前回バダ・ハリが負けたので今回の盛り上がりがあったわけですけどね。
しかしアリスターは強い。総合では多くの戦績を残しているわりにはあまり強い印象はありませんでした。昨年末からのK-1戦ですごく強い印象をみんな持ったと思いますが、アリスターは今が一番良い時期、これからあがっていくファイターなんでしょうね。アリスターは実はまだ若いのです。来年は総合に主戦場を戻すと思いますが、もうヒョードル戦は目の前ですね。
バダ・ハリの話に戻りますが、決勝ではバダ・ハリ慌てましたね。一気に行こうとし過ぎて防御の甘い悪い癖が出てしまった。惜しかったです。その点シュルトは前回の失敗を踏まえて、慌てず落ち着いて対応したという感じ。シュルトの方が上手でしたね。今年も準優勝でしたが、2010年のバダ・ハリが本当に楽しみです。
■魅力を増したシュルト
それにしても今回のシュルトは今までのシュルトと違いましたね。3Rすべて1RでのKO勝利。これは1998年王者となったピーター・アーツに並ぶ記録ですが、それよりも秒数で上回る最短記録だということです。今までのシュルトは、攻撃をさせない、ダメージを負わない、倒れない、といった形で磐石のスタイルだったのですが、今回のシュルトは、そういった守り重視に見えた今までの戦い方よりも攻撃的になっている感じがしました。
目立ったのがボディへの前蹴り。今まではボクシングで言えばジャブのような形の前蹴りだったのですが、今回はジェロム、バダ・ハリをその前蹴りで一蹴。一撃は極真の代名詞ですが、シュルトの攻撃も本当に一撃の技ですね。まさに空手家ならでは、これぞ格闘技です。
準決勝では、レミー戦でダウンを喫しました。今まではこんなことはありませんでしたね。シュルトの試合は、完璧で安全に見えるので『シュルトの試合はおもしろくない』『シュルトはスター性がない』などと揶揄されてきましたが、『ダウンも取られることもある』、『KOも取れる』、そして『技もある』、というところで、今回の戦いによりシュルトはファイターとしての魅力が増したのではないでしょうか。
一夜明け会見では、3連覇中のときのように、『戦う相手がいない』という感じになっていますが、以前のようなまったく相手を寄せ付けないようなスタイルではないので、バダ・ハリとのワンマッチでの再戦もあるでしょうし、ジマーマンやアリスターとの同門対決の話も浮上しています。史上初の5TIMESチャンピオンは可能性十分ですし、2010年のシュルトには本当に注目ですね。
■組み合わせに負けたかレミー
1R早々にKOを取ったバダ、アリスター、シュルトに対して、3Rジマーマンとフルに戦ったレミー。準決勝での差は明らかで、レミーは足をやられていてもう戦える状態ではなかったですね。その中でシュルトからダウンを奪った。バダ・ハリvsアリスターとの戦いに同じくエキサイトしたワンシーンでした。
しかしその後のシュルトの建て直しは見事で、結果レミーは立ち続けることが出来ずKO負けとなってしまいました。もし、準々決勝の組み合わせがレミーvsシュルトだったとするなら、レミーはそう簡単に倒れることはなかったでしょうし、シュルトの3試合1RKOもなかったかもしれません。組み合わせの違いで展開が大きく変わることを改めて実感しました。
いずれにしても、レミーにはもっと一撃必殺の攻撃が欲しいですね。フライングニーなど大技もありますが、意外に打ち合って長引くパターンも多いですから、そうなると今回のようなトーナメント展開の場合不利です。2010年のレミー・ボンヤスキーの変化に期待したいですね。
■残念だったテイシェイラのKO負け
アリスターvsテイシェイラの一戦は残念でしたね。まさかあのような結末になるとは想像していませんでしたが、極真サイドがあまり対策を立てていないのでは?と感じたところが残念でした。僕は戦前からヒット&アウェイでローを多用しないとアリスターには勝てないと記事に書きました。しかし、本戦でテイシェイラは、パンチの距離でリズムを合わせるオーソドックスなキックボクシングの試合をしてしまいました。結果、距離をつめられてヒザを食らってしまいました。
バダ・ハリのようにパンチがあれば良いですが、テイシェイラはまだK-1に慣れておらず、顔面パンチのない空手をやってきているファイターです。アリスターはパンチとヒザ、いわゆる接近戦しかないわけですから、テイシェイラは絶対に接近してはいけなかったのです。絶えず動いて距離を取ってローを多用し、ハイやミドルのキックを織り交ぜながらダメージを蓄積させる戦い方をするべきでした。そうすれば勝てていたかもしれません。少なくともあのような壮絶な結末にはならなかったでしょう。
グラウベを見ていても思うのですが、同じパターンでやられる試合が目立つように感じます。例えば、グラウベは圧力をかけられると弱いですから、それに耐えうる肉体改造を行うなど、変化が欲しいですね。グラウベの体格はデビュー当初から少しは変わりましたが、大きくは変わっていないと思います。2010年は、テイシェイラだけでなく極真自体が変革を行って欲しいですね。同じ空手家のシュルトがあそこまで出来ているわけですから。
■バンナ現役続行宣言
バンナがこの大会で引退を宣言するのではないかとK-1FANでお伝えしてきましたが、試合前のVではっきりと引退について発言していましたね。僕は試合後のインタビューで言うのではないかと想像していたのですが。
シュルト戦は残念ながら敢え無く完敗。その時はやはりバンナもこれで最後かと思いましたが、最終的にはレミー、そしてバダでさえKOされた。バンナが弱かったわけじゃない。リザーバーで出場したピーター・アーツは全盛期の頃よりもしまったすばらしい体格でした。ピーター・アーツは来年40歳。バンナ、まだまだいけるし、まだまだ見たい。バンナの現役続行宣言、本当に嬉しかったですね。
■ヘビー級を極めて欲しいカラエフ
今回も壮絶な試合を見せてくれたルスラン・カラエフ。バダ・ハリとは差をつけられていますが、100kg未満のカラエフにはヘビー級をまずは極めて欲しい。現在、ヘビー級王者は京太郎ですが、その京太郎にWGP開幕ですでに勝っています(ノンタイトル戦)。そして京太郎は今回のWGPファイナルで行われたスーパーファイトでタイロン・スポーンにも敗れています。
現在のヘビー級タイトル保持者は京太郎ですが、実質、もう一度決めなおさなければいけない状態にあると思います。バダ・ハリとの対戦で一度は逃したヘビー級タイトルですが、カラエフには今一度ヘビー級のタイトルを勝ち取って格を上げて欲しいですね。
本当におもしろかった今年のK-1WGPファイナル。個人的にはバダ・ハリに優勝して欲しかったですが、その夢は来年ですね。他のファイターはセーム・シュルトを見習って、ちゃんと戦略を立てて試合に臨んで欲しいですね。そうすることでもっとおもしろい試合が増えるでしょうし、そうでなければ同じファイターばかりが王者になる結果になってしまいます。2010年のK-1WGPにも大いに期待したいですね。
2009年12月6日日曜日
【K-1FAN】K-1WGP2009ファイナル総括!
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